日本工業規格 JIS X8341-3
この規格は2004年6月20日、Webのアクセシビリティを規定した日本工業規格(JIS)で、正式名称は、「JIS X 8341-3 高齢者・障害者等配慮設計指針−情報通信における機器、ソフトウェア及びサービス− 第3部:ウェブコンテンツ」と言います。
JIS X8341-3の「8341」は「やさしい」の語呂合わせになっている事からもわかるように、高齢者や障害者あるいは一時的な障害のある人がウェブコンテンツを利用する際のアクセシビリティを確保し、向上させるために企画・設計・開発・制作・保守及び運用をする際に配慮すべき事項について規定しています。
ここに書かれたJIS規格に関する文章は、所長の濱田が規格作成に携わる上で個人的に感じたことも含めてまとめたもので、委員会や作業部会での公式な発言やデータではないことを予めご承知おきください。
経緯
この規格は、2000年9月、財団法人日本規格協会情報技術標準化研究センター(INSTAC)に「情報技術分野共通及びソフトウェア製品のアクセシビリティ向上に関する標準化調査研究委員会」と言う、とても長い委員会名として設置されたもので、通称「情報バリアフリー標準化委員会」と言いました。
この委員会の下に、「ウェブアクセシビリティ指針作成部会(WG2/ワーキンググループ2)」が、濱田が主査をし、副主査として(株)ユーディット客員研究員の梅垣正宏、日本アイ・ビー・エム(株)の飯塚慎司氏を中心に十数名のメンバーで設置されました。
WG2は2001年7月から2004年1月までの2年以上の間に通算47回の委員会を開催し、検討を重ねてきました。
検討は、高齢者・障害者が抱える「見えない、見えにくい、聞こえない、聞こえにくい、理解しにくい、操作しにくい」などの情報行動を基準として、ウェブコンテンツを利用するときにどのような問題点や課題があるかを利用者の立場に立って分析しました。
また、すでに作られている国内外に存在するアクセシビリティに関する指針を集めて分析しました。特に国内各メーカーで作られた指針、W3CのWCAG1.0、当時検討が進められていたWCAG2.0、米国リハビリテーション法508条などを重点的に分析検討しました。
これらの成果で得られた、利用者の立場から分析した内容を、規格の利用者であるウェブの企画・制作者の立場で、主としてウェブコンテンツを作成する技術の視点からまとめました。
その後、1ヵ月ほどの公開レビューを行い、42人の方とWAIからの意見をいただき、検討を行い必要な修正や追加などを行いました。また、公開レビュー期間中にW3C WAIのメンバーと意見交換会を行うこともできました。
構成
この規格は、6つの章から作られています。
- 1章/適用範囲
範囲/利用者がウェブブラウザなどを用いてアクセスするあらゆる情報・サービスを指す。例えば、インターネット、イントラネット、CD-ROM等の記録媒体を介し配布されるウェブ技術を用いた電子文書、ウェブブラウザを用いて操作する機器などに適用します。
対象/この規格の第1には、政府・地方自治体をはじめとする公共的分野。第2には、銀行・保険・航空・交通・マスメディア・電気・電話・ガスといった公共的な性格を持つ社会的役割の大きい企業。また、それ以外の企業・団体においても今後ますます配慮が求められます。 - 2章/引用規格
引用された規格が書かれています。 - 3章/定義
定義された用語が書かれています。 - 4章/一般的原則
本規格の原則となる精神と配慮すべき利用者の特性を定義してあります。 - 5章/開発・制作に関する個別要件
この章では、実際にウェブを制作する際に参照すべき技術的な内容が書かれています。 - 6章/アクセシビリティの確保・向上に関する全般的要件
ウェブの企画から保守・運用にいたるプロセスの中で配慮すべき要件をまとめています。制作現場の担当者だけではなく、発注者や保守を担当する人も含まれます。
JIS X8341-3 の閲覧と購入
- 日本規格協会 JSA Web Store
JIS検索のページでJIS規格番号検索に「X8341-3」と入力します。 - 日本工業標準調査会(JISC):PDFファイルでの閲覧です
JIS検索のページでJIS規格番号検索に「X8341-3」と入力します。
JIS関連サイト
参考図書 「ここから始めるWebアクセシビリティ」
改訂版「JIS X 8341-3:2009」について
JIS X 8341-3:2004 ですが、出されてから5年が経ち、現在改訂作業が行われています。2009年度内には JIS X 8341-3:2009 としてでるものと思います。
今回の改正は、世界基準のWCAG 2.0(Web Content Accessibility Guidelines 2.0)との国際協調を大きな柱としており、表現は違っていますが、配慮する項目内容は、大きく変わることはないと思われます。